Boudoir de BdT

#017 Ann Demeulemeester Tank Top

Boudoir de BdT



ANN定番のリブタンク


実はこれ

友人からの預かりもの


友人が弊店で購入

しかし

着てていいよーと

私の手元に戻ってきた


着てていいよと言われたものの

人から借りた高級タンクを

どうしたものか・・


そんなことに悩んでみたのは

初めの一週間ほど

それ以降は借りている事実も忘れ

自分のもののように扱っていた


だいたい

一枚で着られないのに一丁前なお値段のコチラ

どうして着たらよいものか?


コレクションなんかで見ると

一枚で着たり

ジャケットの下に着て

透けたり

見えたり


でも

リアルに透けたり見えたりしてたら捕まります

ここ日本だし


そうした場合

これだけ薄い素材

下にタンクトップを重ね着して

透けない 見えない ことを確認した上で

ジャケットのインナーに着てみる

どのみち

ジャケット脱げないし

そのわりに 潔さ欠けてるし

なんだか切ない


そこで

鏡の前の自分と向き合うお時間


結果

裾から見える重ね着アイテムとしてコーディネート


普通のセーターと黒いパンツの間に

タンクトップという箸休め

セータの裾から見えるタンクトップにより

なんてことなかった組み合わせに

奥行きが生まれる感じ


もっと言ってしまえば

タンクトップの裾20cmがあるかないかで

おしゃれに見えるかどうかまで

決まってしまう


服を着こなすってすごく難しい

また

いかに自分らしく着こなせるか

これきっと

永遠のテーマ


あの人ちょっと違う

そう思われたい

そんな時

隠し味のような役割として

意外にも重宝するアイテム


だからこそ

素材や色・柄にも拘りたい

単なるインナーじゃない

存在感のあるコを選びたい


先日うっかり

「もらったタンクトップをさー」

と話したら

「あれ あげたことになってんだ?」

と含んだように返してきた友人


何年も

しかもオールシーズン結構な頻度で

私が着ていることは

百も承知のはず


え 返します?

いや 要りません


この場をお借りして

よれよれですけど いつでもご返却可能です


主役級ではないけれど

縁の下の力持ち的アイテム

裾20cmのために

お金を払っていると言っても過言ではない


この借り物をきっかけに

私のクローゼットに

高級タンクがどんどん嫁入りしてきたことは

いうまでもありません


h.

#016 Hermès Remix Card Case

Boudoir de BdT


マルジェラがエルメスのデザイナーだった頃のコレクション


ある男性が

このカードケースを財布代わりに

パンパンに膨らませて使っていた


元々ブラウンだったであろうレザーも

真っ黒に使い込まれ

いわゆる財布といえば

から想像できる形式からはかけ離れた雑な扱いに

ある種のカルチャーショックを受けた


私はオフの日だったら

ポケットに財布を入れ手ぶらで出掛ける


20代の頃は特に

男性の服や持ち物に憧れ

かっこいい女性になりたいと思っていた


その頃憧れた かっこいい女性像

いま思う かっこいい女性像

明らかに違っているが

おそらく根底は変わらない


それから 私には珍しく

この財布を手に入れたのは

しばらく経ってからのことだった


意外にも

日常的に使うようなアイテム

特に財布などは

使い慣れると変える気すら起きない


そのため

その男性の財布に ときめいたものの

それは財布にというより

使い込まれた様に惚れ込んだ

という風に解釈していた


あるパリの出張時

普段ならあまり入ることのないエルメスに入店

するとケースの中には

色とりどりのソレが並んでいた


当時は私の身近なところで持っている人も多かったので

特に興味がないはずだったのに

うっかり

オーストリッチと目が合った


やばい


色は ベージュ 赤 黄緑 の3色

使い込んだことを考えたら

当然 ベージュ

なのに

きれいな朱赤に後ろ髪を引かれる


でも財布の赤ってよくないんですよね?

そういうの気にしないでしょ?

そんなことはないですよ

でも 可愛い と 迷信 を比べたら

断然

可愛い という事実をとりますよね


ということで

単なる衝動で

赤のオーストリッチを連れて帰ることに


しかし

元々カードケース

仕切りがぎっしりすぎて使いにくい


家に帰って早速

真ん中以外の仕切りをチョキチョキ

すっきりしたところで

晴れて 私の相棒に


それから15年以上使い続けた

最近のお悩み


独立してから

ある時を境に

お札を折れなくなりました


この財布

まぁ 財布ではないので

お札は二つ折りで

かろうじてファスナーが閉まるといった具合


オープン当初 アパレル経営者のお客様から

貴重なアドバイスをいただいた


レジには新札を用意しておきなさい

それが出来ないときには

お札にアイロンをかけなさい


それからというもの

お札に気を配るようになると

自分の財布の中身も気になり始めてくる


新札しか手元になかった時

この財布に入れるために

諭吉さんを折らなければならないのか

諭吉さんほか

英世さんや一葉さんに無礼ではなかろうか


お札にまで礼儀を払うほどに


そんな

お札を折れない私が

お札を折らなければならない財布を使用


年々 矛盾が増えてくる


そこで明らかな解決策

そう 長財布を買えばいいんです


でも

「とりあえず」という買い方ができない私は

矛盾のバカバカしさを感じながらも

新札は別のケースに入れ

どうしても財布一つで出掛けなければならない時には

ごめんなさい!と

諭吉さん方にひと言詫びて うっすら折りたたむ


多少の罪悪感と不便を感じつつも

やはり好きなモノに囲まれているという

幸福に勝るものはない


この行方

いずれまた

ご報告させていただきます


h.

#015 Santa Maria Novella Sapone al Melograno

Boudoir de BdT


イタリア フィレンツェにある

現存する世界最古の薬局

サンタ・マリア・ノヴェッラ


映画ハンニバルの舞台となり

その後は観光ガイドに載るほど有名となった


この時すでにハンニバルが公開していたのかどうか

いずれにせよメジャーな映画に疎い私の

サンタ・マリア・ノヴェッラとの出会いは

知人からのプレゼントがきっかけだった


まず

なにより感動したのは

そのパッケージ

プロダクトごとに拘った外箱に包まれ

特別感が漂っている


北青山のビルの一角に

ひっそりと路面店を構えていた

おそらく 日本では

まだその一店舗のみだったのではないだろうか


休日

意気揚々と出掛けてみたものの

私のような若者が

気軽には入れない重たい空気を

入り口付近から漂わせていた


恐る恐る

足を踏み入れてみる


忘れもしない

気持ちのよい晴れた日

それなのに

店内に入った途端

一切の光も音も遮断された異空間

物凄い重圧感


明らかに遥か人生の先輩であろう

スタッフの女性

口角を1ミリたりとも動かさず

いらっしゃいませと

会釈された


ダークファンタジーにでも

迷い込んでしまったかのような感覚


それでも

パッケージの美しさやプロダクトに圧倒され

店内でうっとりしていると

次から次へと

マダムや紳士が来店

一言二言 話しては

用を済ませ

ありがとうと立ち去る


本当にここは日本なのか


わずかな滞在時間に

あらゆる意味で場違いな自分を肌で感じ

すごすごと退散


それなのに

自分が淑女の仲間入りでもしたかのような

高揚感を土産に帰路についた


それからしばらく経ち

フィレンツェに行ってきたという

学生のお客様からお土産を戴いた


差し出された紙袋を見るなり

相手が恐怖を覚えたというほど

大きな悲鳴を上げた


確かにハンニバル公開後

フィレンツェ旅行のお土産に

サンタ・マリア・ノヴェッラは

珍しくもない話だろう


でも私にとって

ファンタジーだかダークファンタジーだか

わからないほどの異空間にあった贅沢品は

紙袋すら光り輝いて見えた


お土産は

ザクロの石鹸と黒いパスタ

なぜ

そのセレクトだったのか


「妖しげな感じが ぽかったから!」

無邪気な笑顔でコメント


それって

黒い布に包まれた部屋で

真っ黒い衣装を着て

グツグツなにか煮込んでそうなイメージ

ですよね


ある種のダークファンタジーを

自分も醸し出していたのかと妙に納得したところで

気を取り直し

ありがたく そのお土産を開けてみた


箱を開けた瞬間

重たく甘酸っぱいような強い香りが迫ってくる


この石鹸を使った次の日は

香りを纏っているかのように

ふんわりと

自然に良い香りが香る


それ以来

ザクロの石鹸は私の愛用品となった


よく

街を作るのは

そこに住んでいる人々だというけれど

店もお客様が作っていくものだと思う


どんな方が来て

どんな会話がなされているのか


そこでしか味わえない世界観

独特の空気感

北青山にあるサンタ・マリア・ノヴェッラは

それはそれは素敵な紳士・淑女と共に

年月を経て

作り上げられたのだろう


今は感じることのできない

その時 感じた思い


背筋を伸ばして目を閉じ

記憶にタイムスリップしてみる


いつか

だれかのタイムスリップの舞台に選ばれるような

店になっていきたい


h.

#014 YARD・O・LED Perfecta Victorian Pencil

Boudoir de BdT


馬鹿がつくほど

服一筋に生きてきた私は

高級ステーショナリーにはさほど興味がなかった


もちろん見るのは好きだったけれど

モンブランの万年筆が欲しい!的な

憧れは一切抱いていなかった


ロンドン出張の際

いろんな形のペンシルを

アンティークマーケットで買い付けてきた


素材は違えど

懐かしさを感じる物もあれば

初めて見る形状の物もあった


その中でも

鉛筆ともシャープペンとも違う

芯を繰り出す仕様のペンシル

そのフォルムに惹かれた


アンティークだから存在するのか

現行では作られていないのか

異常に興味が湧き 調べてみた

結果

同じようなフォルムのペンシルを見つけた

それが

YARD・O・LEDだった


いつもそう

何の気なしに好きなものを探し

辿り着くと

どれもこれも高価なものばかり


20代の頃は

金のかかる女だと

馬鹿を言って笑っていたけど

本当に馬鹿だと思う

いつだって欲しいと思うものが

呪われているほど高額なのに

笑いごとではない


それでも めげずに

YARD・O・LEDとはなんぞやと

調べてみる


まず興味を惹かれるのは

「YARD・O・LED」というブランド名

3インチの芯を12本=1ヤードの芯

を入れることができるペンシルを

発明したことから由来されている


YARD・O・LEDの歴史ある素晴らしさを

知識として充分に頭に入れたところで

気になるお値段

How much?


私ごときが使うペンシルとしては

超高級品


それもそのはず

スターリングシルバー製で職人が一本ずつ手作りしている

その上

厳正な基準に適合した物だけが受けられる

ホールマークが刻印され

これにより

素材や いつ どこで 作られたのかもわかる

まさにペンシルの王様


軽い気持ちから入り

知れば知るほど 恐れ多い逸品

そしてそのペンシルを

自分の手に馴染むまで使い込みたいという

ぞわぞわとした欲求にかられる


そんなときに出てくる お決まりの文句

「一生ものだから」

魔法の呪文 ならぬ 悪魔の呪文


もちろん

煙に巻いても何も変わらない現実

それなのに

気持ちが軽くなり

足までふんわり浮いたように

高価な買い物の罪悪感を拭ってくれる

魔法の言葉


私が手に入れたいと選んだモデルがパーフェクタ

YARD・O・LEDの中でも軽量なモデル

まずは手に取り 試し書きをしてみる

手にした時のシルバーの冷たさと

ずしっとくる重さ

確かに長時間文字を書くには

楽ではないのかもしれない

でも

不自由すら贅沢に感じさせる

心地良い重みだった


そして ビクトリアンは

ペンシルのボディ全体に模様があしらわれている

数人しかいない職人が

手作業により その模様を打ち込んでいるという

手間のかかったもの

さらにマニアックなところでは

模様の彫りを比べると

どの職人に彫られたものかがわかるという


ちなみに

私のペンシルは

1994年バーミンガム生まれ


時々そのペンシルに

『ワタシを使いこなすにはお前はまだまだ若輩だ』

そう ほくそ笑まれているような

気分になることがある


長く歴史あるモノを使いこなすには

使い手の中身も重要だということを

つくづく思い知らされる


もしモノが言葉を話したら

きっと私の周りにあるモノたちには

一生勝てる気がしない

ただ

そういったモノの力を借りて

自分が成長しているということは

間違いないのだと思う


若輩なりに

敬意を持って格式あるモノに触れ

またそれに釣り合うような

中身のある人間になっていきたい


h.

#013 Pierre-Louis Mascia Blanket

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パリのセレクトショップのソファに

無造作にディスプレイされていたストール


花柄も ヒョウ柄も 派手やかな色合いも

どれをとっても嫌味なく上品で

個性的な柄たちに目を奪われた


それを見た日からずっと

そのストールが脳裏から離れない

パリ出張中 仕事の合間にでも

再度そのショップへ立ち寄るつもりだったものの

そういう時に限って

スケジュールの都合上

あえなく断念


帰国後もしばらくの間

そのストール

いや

柄たちに恋い焦がれていた


そのショップで出会ったストールが

Pierre-Louis Masciaだった


それからというもの

毎シーズン

独特の色彩感覚でコラージュされた

新たな柄を見るたび

心が躍る


ストール以外にも

タオルケットや クッション

バッグや トラベルケース など


デザイナーの気まぐれともいえる

ストール以外のアイテムもまた

楽しみのひとつとなった


そして

このブランケット


この素材こそが

パリで心惹かれたものだった


同じ柄でも

この素材にプリントされると

少しトーンが落ち着き

絶妙な色合いになる

それがまた

たまらない


もはや

ピエールの商品を扱えているというだけで

満足でもあった頃

ブランケットが売れ残るという

不謹慎にも

嬉しすぎる緊急事態


眺めては ニヤニヤ

インテリアとして想像しては

さらに

ニヤニヤが止まらない


そうやって

ニヤニヤしながら

実は

未だに使えていない・・


最初の熱が高かったせいか

贅沢品だからか

自分のものとするまで

妙に気構える


柄物に惹かれるのは

私にとっては貴重

隠れ派手好きと自負しているほど

色も柄も大好きだけど

好みの色柄物にはなかなか出会えない


絵画を飾るように

布を身に纏い

インテリアとして

布を配う


好きなモノに囲まれ

また その刺激を

五感で感じる


他愛もない日々の贅沢を

見逃さず

丁寧に暮らしていきたいと思える瞬間


h.