Boudoir de BdT

#021 Used T-shirt

Boudoir de BdT


自分に似合うTシャツ選びは容易じゃない


Tシャツは好きだし

古着も好き

だからといって

必ずしも好きなものが似合うわけではない


何度か失敗して学んだこと

古着も素材選びが大切


今のところ

よれよれに透けるほど

薄くなったコットンが

私のベスト

薄いコットンはレーヨンのように落ち

体に馴染む

そのため多少サイズが大きかろうと問題ない


だからといって

うっかりロックTなんかを選んじゃった日には

ソレマニアな人から嬉しそうに突っ込まれたりして

なのに私は

柄が可愛かったから

なんて理由で着てるだけだから

ただただ申し訳ない気持ちになる


そういうわけで

Tシャツの柄選びは

「かわいいですね〜」

とか

「おもしろいですね〜」

程度で完結するくらい

分かりやすいキャラクターものや

深い意味のなさそうなものが

私にはちょうどよい


古着のTシャツは

全身ブランドっぽくなってしまったり

肩の力が抜けていないコーディネートの日に

ハズしアイテムとして一役買ってくれる


ジャケットのインナーとして着たり

Tシャツメインで着るとしても

首や手首周りのジャラジャラとしたアクセなど

なにかしらの装備が必要となる

そういった

Tシャツを着る上での自分ルールがあったりする


Tシャツには文化があり

どんなTシャツを着ているのかで

その人が表われる気がする

だからこそ

他のアイテムにはない面白さがあり

私にとっては敷居が高いアイテムでもある


近年

ノームコアという言葉が出回ってから

白いTシャツを着る人が多くなり

今では夏のマストアイテムとなっている

それまでは

真っ白のTシャツなんて似合わない

と言う女性の言葉をたくさん聞いてきた


流行というのは

まず気持ちで着ようとするから

その人自身のそれまでの常識を簡単に覆す

慣れた頃にはもう

その人の常識は改訂されている


そのまた逆に

去年完璧だったものが今年はイケてない

なんてこともしばしば

こまめなアップデートは必要だろう


その季節

その年齢

その時にしか味わえないオシャレは

確実にある


だからこそ

着たいと思う服と出会えた時には

真剣に向き合いたいと思う


h.

#020 Maison Martin Margiela Artisanal Denim

Boudoir de BdT


メゾンマルタンマルジェラの

古着を使った

アーティザナルコレクションのデニム


デニムといえば

今やトレンドサイクルが早いアイテムのひとつだろう


今シーズンは こんな加工

今シーズンは 鮮やかなブルー

今シーズンは くるぶし丈のカットオフ

毎年欲しいデニムが違う


作業着だったアイテムが

ファッションアイテムへと昇格した


デニムは穿き込むというイメージが強かったが

ファストファッションが定着した今

要望に近いものは大抵手に入る

だからこそ今の立ち位置を獲得したのかもしれない


デニムで流行がわかるといえど

それは今の時代ならではで

ビンテージ然り

基本穿き込むアイテムに変わりない


このデニムは私にとってそのひとつ

お相撲さんのような人が穿いていたであろう

ビックサイズのデニムをリデザインした一点物

後ろ姿がアヒルのお尻のようで

意外にも女性らしい


このコレクションのテーマが「ビッグシルエット」だったので

極端なデザインにも見えるが

男女問わずどんな体型の人が着ても

違和感のないところが秀逸


当時のマルタンの服は変わったデザインも多かったが

デザインされているというより

研究されているといった表現の方が

しっくりくると感じていた

服自体のデザインの主張より

最終的には着用した人の個性が生かされる


その上

トップスのシルエットも合わせやすく

思いのほか大活躍となった


しかし元は古着

穿く頻度が増すことにより負担もかかり

ほつれはもちろん ダイナミックに破れてきたりする


ビンテージでもそうであるように

デニムの補修は

敢えて補修してありますよ

くらいわかりやすい方が面白いと思う

とか

言い訳しながら

自ら下手くそな補修を繰り返し

長い付き合いになってきた


このデニムと出会った頃

今やレジェンドと呼ばれる女性スタッフの方に

接客をしてもらっていた


彼女

見た目も個性的だが

接客スタイルも個性的


商品を手に取り悩んでいる若者に向かって

「それ 今買わないとなくなっちゃうよ」

と声をかける

当然

噛みつかれて死なぬよう

若者は逃げ帰る


そんなサファリパークで私は

しっかり見物客として守られ

猛獣の言動にドキドキしながら楽しんでいた


その頃は

ショップへ出かけると

店頭に並んでいる商品を見ることなく

フィッティングルームへ直行


そして魔法のように次々と出てくる新作を試着する

怒涛のような展開に思考回路は制御不能となり

今思えばなんてことないかたちの

キラキラした布のポシェットを

「グリーンと黄色と青とオレンジ どれ?」

「うーんと オレンジで!」

と間髪いれずお買上げ決定

そんなにもキラキラポシェットが欲しかったのか


このデニムもまた

「ブルーとブラック どっち?」

クイズ番組のようなテンポで選択肢を与えられる

選択肢があると選んでしまうのが人の心理

別に欲しければどちらも買えばいいのに

そこは薄っぺらい罪悪感で

どちらかを必死で選ぼうとする


のちに

どうしてブラックデニムも買わなかったのかと

しんみり振り返る


特に一点物ともなると二度と手に入らない

人生でそれほどなくてはならないモノなんてないだろうに

そうやって

どうでもいい後悔を繰り返し

今の私がある


でも その後悔があるからこそ

手元にある物をより大切にすることも事実


ある友人が

私のことを「モノの人」と呼んだ

それを聞いた瞬間

買い物道楽の自分が救われたような気がした

そしてきっとその言葉は

これからも何かのタイミングでふと思い出され

時に私を救ってくれるだろう


h.

#019 Rue Jacob

Boudoir de BdT


パリ

といえば


エッフェル塔

凱旋門

ノートルダム寺院

ルーブル美術館


多くの人は

華やかなイメージを

真っ先に思い浮かべるだろう


私も初めはそうだった


主にロンドン出張を繰り返してきた私は

ロンドン同様

パリへの期待も高かった


ところが

パリ出張に行き始めた頃

パリがとても嫌いだった


ツンと澄ましたフランス人

妙に気高しい建造物の数々

ぼそぼそとした早口言葉のようなフランス語


街のパン屋に入れば

1・2・3という英語さえ

受け入れようとしてくれない


なんて冷たい街だろう

そう思っていた


それでも

半年に一度

ファッションウィークはやってくる


いちセレクトショップのバイヤーなんて

ファッションウィークといっても

華やかな仕事をしているわけではない

東京でもパリでも

やってることは同じ

時間に追われるのも同じ

地味な作業の繰り返し


その心境が変わったのは独立後だった


それまでは

歩くスピードも早く

どんどん景色が流れていく

目的地に着いて仕事をして

また移動する


でも独立後

少しずつ街の様子が目に飛び込むようになってきた

威圧的に感じていた建造物の美しさに

思わず立ち止まる


出張という仕事で来ている私は

立ち止まる

という行為を勝手に禁じていた

それは言葉通りの意味と

自分の気持ちの上でもそうだった


ふと立ち止まってみる

いつもよりゆっくり歩いてみる


東京と変わらないと思っていたパリの空気が

なにか違うと感じた


縁というのは不思議なもので

出会うタイミングも縁のひとつだと私は思っている


弊店のお客様

彼女はアパレルでもないのに 服に詳しく

そんな古くてマニアックなデザイナーのことまでご存知ですか?

というほど

初対面から会話が進み意気投合した

そんな彼女と知り合って間もなく

しばらくパリへ移り住むという


最初はそこまで重要なことだと思っていなかったけど

あれからもう7年

彼女のいないパリは考えられないほど

パリの住民として

半年に一度 私たちを迎え入れてくれる


そして彼女から教えてもらうパリは

パリの日常を垣間見るような

自分もパリに受け入れられているような気持ちになれる


当たり前に

住むのと滞在するのとはわけが違う

どんなに不自由で大変な苦労をしても

この景色には変えられないと

夜のセーヌ川を眺めながら彼女は言う


出会った当初

パリの中でもとても好きだという通りを

彼女が話してくれた


サンジェルマン・デ・プレ教会の裏に

Jacob通りという500mにも満たない路地がある

決して美しいわけではないその通りの良さを

初めは正直 理解できなかった


小さな通りには

画廊や本屋 雑貨屋 骨董屋 セレクトショップやホテルなどが

ひしめき合っている


実は有名なセレクトショップだったり

食器屋だったり

ラデュレまである


普段は観光客らしき人々をあまり見かけない

とても不思議な通りだ


この不思議な通りに毎回訪れるようになり

この通りの気負わなさと空気感に

思わずただいまと言いたくなってしまう


あれほど嫌いだったパリの景色が

こんなにも違って見えるとは

私にも少しずつ浸透してきた


頼まれてもいないけど

あなたのアナザースカイは?

と聞かれたら

パリです

と即答するだろう


立ち止まる

今では意識的にそうしてみることがある

すると

自分の知らなかった世界が見えてくる


何事も一片から物事を見て

わかったつもりでいると大火傷をする


そして今回のパリ出張では

だいぶ苦しい初体験をした

そこで気づかされたことも多々

マイナスからの発見もある


次回はこの経験を胸に

また一心してパリへ

そして JACOB通りへ戻りたいと思う


h.

#018 Monoprix Sac

Boudoir de BdT


最近少なくなってきたとはいえ

なかなか治らない

収集癖


私の場合

集めようというより

結果 集まっちゃったタイプ


ここ数年

パリ出張で癖付いたのが

このエコバッグ


パリのスーパーマーケット

Monoprixのオリジナル


パリのホテルに着いて

まず することといえば

近所のMonoprixへ飲料水の買い出し

1.5Lのペットボトルを数本買い込む


初めは

エコバッグなんぞ持っていなかったので

ビニールのレジ袋を買うよりはと

レジ前に積まれたエコバッグを手に取ってみたことが

きっかけとなった


これが意外にも

使ってみると丈夫で

コンパクトになり 使い勝手が良い


さらにこのエコバッグ

行くたびに必ず新作が並んでいる


半年に一度しか行かない私には

新作のサイクルは不明だが

カラフルなものから柄もの

さらには

ファッションブランドとのコラボまで


しかも

偶然なのか

リサーチされているのか

トレンドカラーに寄せてきたりしているから

何の気なしに訪れると

それだけでなんだかアガる


おまけに1.5〜2.0ユーロというお値段


もういくつも持っているというのに

新色が出たことにより

ついつい増えていく始末


ショップの紙袋など

シーズンごとに企画・展開されているものは

見ているだけでも楽しくて

心を掴まれる


心動かされるものというのは

必ずそこに

誰かの思いが隠れている


そうして今回もまた

何色のエコバッグが待っているだろうと

密かにわくわくしながら

Monoprixに出かけたいと思う


h.

#017 Ann Demeulemeester Tank Top

Boudoir de BdT



ANN定番のリブタンク


実はこれ

友人からの預かりもの


友人が弊店で購入

しかし

着てていいよーと

私の手元に戻ってきた


着てていいよと言われたものの

人から借りた高級タンクを

どうしたものか・・


そんなことに悩んでみたのは

初めの一週間ほど

それ以降は借りている事実も忘れ

自分のもののように扱っていた


だいたい

一枚で着られないのに一丁前なお値段のコチラ

どうして着たらよいものか?


コレクションなんかで見ると

一枚で着たり

ジャケットの下に着て

透けたり

見えたり


でも

リアルに透けたり見えたりしてたら捕まります

ここ日本だし


そうした場合

これだけ薄い素材

下にタンクトップを重ね着して

透けない 見えない ことを確認した上で

ジャケットのインナーに着てみる

どのみち

ジャケット脱げないし

そのわりに 潔さ欠けてるし

なんだか切ない


そこで

鏡の前の自分と向き合うお時間


結果

裾から見える重ね着アイテムとしてコーディネート


普通のセーターと黒いパンツの間に

タンクトップという箸休め

セータの裾から見えるタンクトップにより

なんてことなかった組み合わせに

奥行きが生まれる感じ


もっと言ってしまえば

タンクトップの裾20cmがあるかないかで

おしゃれに見えるかどうかまで

決まってしまう


服を着こなすってすごく難しい

また

いかに自分らしく着こなせるか

これきっと

永遠のテーマ


あの人ちょっと違う

そう思われたい

そんな時

隠し味のような役割として

意外にも重宝するアイテム


だからこそ

素材や色・柄にも拘りたい

単なるインナーじゃない

存在感のあるコを選びたい


先日うっかり

「もらったタンクトップをさー」

と話したら

「あれ あげたことになってんだ?」

と含んだように返してきた友人


何年も

しかもオールシーズン結構な頻度で

私が着ていることは

百も承知のはず


え 返します?

いや 要りません


この場をお借りして

よれよれですけど いつでもご返却可能です


主役級ではないけれど

縁の下の力持ち的アイテム

裾20cmのために

お金を払っていると言っても過言ではない


この借り物をきっかけに

私のクローゼットに

高級タンクがどんどん嫁入りしてきたことは

いうまでもありません


h.