Boudoir de BdT

#041 Antique Tin Case




海外出張のたびに

必ず訪れる蚤の市


オープン当初は

蚤の市で買い付けたアンティークも

販売していたけれど

今となってはそれも出来なくなってしまった


日本でのアンティークブームから

バイヤーたちが

こぞってアンティークを買い付ける


今や

質の良いアンティークは

海外の蚤の市へ行くより

日本で見つけた方が早いのではないかと思うほど


蚤の市は

ガラクタの集まりか

または

宝の宝庫か


答えはその人次第


私にとっての蚤の市は

その空気に触れるだけで

新しいアイデアを与えてくれる場所


探す目的を持たずに歩いていても

思わず足を止めてしまうアイテムがある


その中のひとつが

タブレットやお菓子のパッケージだった

TIN缶

いわゆるブリキ缶


大きさや形も様々で

リップクリームやタブレットが入っていた小さなものから

クッキーやお菓子が入っていた大きなものまである


カラフルだったであろう缶のイラストも

時を超え

すっかり色褪せ

錆びてしまっている


しかし

その佇まいこそ

アンティークの魅力である


そうして

十数年もの間

知らず知らずと

いろんなタイプの缶を集めてきてしまった


その中でも珍しいブック型のTIN缶

どうやら

市販薬や処方箋の薬を入れて

販売されていたらしい


その必要がなくても

薬を買ってしまいそうなほど

洒落ている


あくまで推測だが

きっと当時

薬局で薬を買える人々は

裕福だったに違いない


アンティークに触れると

ノベルティーや付属品であるにもかかわらず

手間やコストのかかっているものが多く

量産されていたことに驚く


ひとつひとつの物が

丁寧に作られ

大切にされていたことが伝わってくる


昔の人々の生活は

お洒落だったのだろう

そしてそれは

物に対してだけでなく

それを使う人々の

気持ちや時間の余裕すら感じられる


いま私たちが生きている時代に作られたものは

果たしてどのくらいのものが

アンティークとして

受け継がれていくのだろう


子供の頃に持っていた宝箱の中身は

ガラクタばかりだった


少々大袈裟だが

子供心に集めたそのガラクタには

きっと

愛や夢が詰まっていたに違いない


大人になってからというもの

クローゼットや引き出しの中身は

あの宝箱のように

それらは詰まっているのだろうか


なんでもいい

値段ではない

自分だけの宝物


そんなことを

アンティークから教えられるのである


h.

#040 Moleskine City Notebook




地図

これとはなかなか

仲良くなれる気がしない


行く先を地図で確認していると

眠くなってしまうという

のび太なパターン


でも

さすがに海外ともなれば

ドラえもんもいないし

地図と仲良くせざるを得ない


でも現代には

ある意味ドラえもんのような存在がいる

行き先を告げると

Google先生が案内してくれる


そんな奇跡的な現代に生きていながら

私がGoogle先生に道案内してもらうことは

この先もきっと無いだろう


一度Google先生に頼ってみた時のこと

携帯画面の地図が

クルクルクルクル

え どっち?こっち?

画面上と現在地の確認をするだけで

すでに迷子


なににつけ

感覚重視で生きてきた私は

知らない場所へ向かう時すら

勘のみで

ガンガン進みたがる性分


もちろん

大幅に間違え

大幅に引き返すという失敗もあるが

当たっていることもあるから

まんざらではない


とはいえ海外

異国の地

やはり地図は必須である


でも

初めての土地だろうが

眼の色が違おうが

御上りさんには思われたくない


以前

ロンドンの街角で

同僚と地図を見ながら

あっちかこっちかとやっている時

ホームレスの男性が

自分の肩にかけているバッグの中へ手を入れて

お宝を探っていた


はい

現行犯

そして危機一髪である


街に出て地図を広げていると

少なからず

その土地の人間ではないということが

丸わかり


できれば

できる限り立ち止まりたくないというのが

本音である


このCity Notebookならば

立ち止まって確認していても

あからさまに地図を見ているようには見えない


なんてスマートに

安全に

位置確認ができることだろうと

胸が躍った


その上

地図というより”Notebook”としているため

その土地で

自分が必要な情報を書き込むことが出来

自分だけのガイドブックが出来上がる


おかげで

パリのノートブックは

いろんな情報集めにより

パンパンな厚みになってきた


年季の入った

それを見るたびに

パリで過ごしてきた時間を

思い返すことができる


同じ旅先でも

目的や季節などにより

百人百通りの見え方や感じ方があるだろう


使い古された地図には

その持ち主の足跡が

色濃く残っている


単なるツールに過ぎないものも

年月を共に過ごすことにより

日記以上に

語ってくれる相手になるかもしれない


h.

#039 The North Face Purple Label Packing Cases




バイヤーという職業柄

旅慣れていると思われることが多い


イメージ的にはそういう職業なのだろうが

本人にはまるでそういう感覚がない


特に20代の頃の私は

大真面目な自分ルールに雁字搦めで

プレッシャーも強く

自分自身のことまで全く気が回らなかった


時を経て

ようやく出張だけでなく

あらゆることへの向き合い方が

いい加減になってきた


そう

「いい加減」であり

「良い加減」でもある


脇目も振らずに仕事をしてきた人間が

いい加減になるのはなかなか勇気のいること


でも実際

いい加減になった途端

いろんな景色が飛び込んできた


同じ時間を過ごすなら

楽しい方が幸せに決まっている


自分の中で縛り付けていたものが

解けてからというもの

のびのびし過ぎなほど

出張を楽しめるようになった


そんな20代の頃の自分が

旅の支度なんて手馴れているはずもなく

出張前日に

徹夜で荷物を詰め込むのが常だった


そして30代になり

余裕が出てくると

自分のスーツケースの中身が

急に気になり出してきた


現在の出張は半年に一回

バイヤーとしては少ない方だろうが

それでもすぐに出張の時期はやってくる


このサイクルを繰り返していくと

出張時に必要なものが

嫌でも見えてくる


これまで使用していたものに

なんの不満もなかったが

少し視野を広げると

楽しいものがたくさん見えてきた


アウトドアブランドって素晴らしい


何と言っても

見た目以上の機能性に

いちいち感動してしまう


そこで

The North Face Purple Labelの

パッキングケースを知り

シーズンごとにチェックするようになった


小さいポーチから大きなものまで

4点セットになっていて

シーズンごとの色・柄に

ポーチの形や内容が少々変わる


ゼブラ柄を経て

レオパード柄のシーズン到来


やはり獣の方がしっくりくる


手に入れなければ!

と興奮したタイミングで

素敵な友人

なんとプレゼントしてくれた


ありがたき幸せ


このパッキングケースは

大・中のケースにシューズ用

そしてそれをまとめて収納できる

手のひらサイズの巾着の

4点セット


この薄いナイロン素材は

どのアウトドアショップへ行っても

用もないのに買いそうになるほど大好きな素材

さらに軽くて丈夫と

流石である


もともと

トラベル用として欲しかったわけだけど

職業柄

洋服を持ち運ぶことも多く

普段から大活躍している


しかし

私の所有物には

動物愛護団体から

卵を投げつけられそうなくらい

なにかと獣率が高い


そのため

獣同士のバッティングを避けるためにも

無地のものを手に入れたいところなのだが

このところ

パッキングケースの新作が滞っている


企画の皆さま

どうかひとつ宜しくお願い致します


何事にも

余裕を持つことは大切だと

つくづく実感する


年々

理想が変化し

いい加減な人に

より憧れる


そしてもっともっと

肩の力の抜けた

いい加減さを身につけたいと

目論んでいる


h.

#038 Taschen Travel Books




初めて行く海外

そういう時にまず

手にするガイドブックといえば

「地球の歩き方」だろう


創刊以来

今では100都市以上に及ぶらしい


平和で豊かな日本に暮らしていると

「無い」ということに憤慨しても

「有る」ということへの感謝は

なかなか気づきにくい


「地球の歩き方」もそう

自分が行きたい国の本は

あって当たり前くらいに思っている


学生時代

海外に行く予定があるわけでもないのに

立ち寄った本屋で手にした

Taschen社のガイドブック


Taschenとは

ドイツの出版社

アートブックのトップブランドともいわれ

ファンも多い


厚みのある紙面にやや荒い画質の写真

説明文は一切なく

3ヶ国語による必要最低限のインフォメーションのみ

地図はイラストと

あくまでビジュアル重視


ショップ紹介も

お決まりの外観や内観全体の写真は

極めて少なく

特徴的な部分が

マニアックにクローズされている


ガイドブックらしからぬ

その潔さは

各都市のアートブックを見ているようだった


そもそも

このガイドブックのタイトルの都市数は

両手の指に収まるほど


選りすぐられた

といえば聞こえはいいが

Taschen社の気まぐれのようで

「地球の歩き方」とは

スタンスが大きく違う


そのTaschen社の

ガイドブックの世界から

学生の頃の私は

たくさんの夢やアイデアをもらった


なにかに悩んだり迷ったり

自分の中で停滞している時

本から学ぶことは多い


しかし

ガイドブックに

そんな役割まで期待していない


それなのに

今でも

この本の中には

新しい発見がある


秋風の心地よい頃

異国の空を

ぼんやり思い浮かべながら

現実逃避をすることも

読書の秋だからこそ

許されるひとときかもしれない


h.

#037 Maurizio Pecoraro Short‐sleeved Knit




夏の終わり

秋に近づくと

その時期にしか楽しめない

コーディネートを想像し

心待ちにしてしまう


季節でいくと

秋のコーディネートが

一番お洒落ではないかと思っている


しかし残念なことに

最近の日本の気候は

秋を飛び越えてしまうことも

しばしば


それでも

わずかな秋を見逃さぬよう

その時をじっと待ち望む


そこで秋に着たいアイテムとして

真っ先に思い浮かぶのが

半袖のタートルネックニット


服を着る上で

肌の露出とバランスは

重要なポイント


例えば

デニムの裾のロールアップや

シャツの袖をまくるなど

同じアイテムでも

そのまま着用した時より

肌の見せ方を少し変えるだけで

お洒落に見えるか否かを決定付けるほど

差が出るものである


タートルネックなのに半袖

半袖なのにタートルネック

防寒にも防暑にも向いていない


物心ついた頃から

ファッション誌の中で目にする

半袖のタートルネックニットにロンググローブ


子供ながらに

最強のコンビネーションだと

確信していた


Maurizio Pecoraroのニットは

ウールベースに

前身頃にはシルクとモヘアのニットを

重ねたデザイン


しかも

黒いシルクに黒いモヘア

なんとも控えめで贅沢なデザイン

一年のうちに活躍する頻度も控えめなものの

こういうアイテムこそ

欠かせない


よく

実用的ではないアイテムに対して

「なかなか着る機会がない」と

耳にする


先日

友人との雑談の中で

「機会があれば・・」と言う人は

初めからその気がないのだろうと

結論づいた


機会は

待っていてもやって来ない


四の五の言わず

ここだ!と感じた時こそ

楽しむべきである


h.