Boudoir de BdT

#014 YARD・O・LED Perfecta Victorian Pencil

Boudoir de BdT


馬鹿がつくほど

服一筋に生きてきた私は

高級ステーショナリーにはさほど興味がなかった


もちろん見るのは好きだったけれど

モンブランの万年筆が欲しい!的な

憧れは一切抱いていなかった


ロンドン出張の際

いろんな形のペンシルを

アンティークマーケットで買い付けてきた


素材は違えど

懐かしさを感じる物もあれば

初めて見る形状の物もあった


その中でも

鉛筆ともシャープペンとも違う

芯を繰り出す仕様のペンシル

そのフォルムに惹かれた


アンティークだから存在するのか

現行では作られていないのか

異常に興味が湧き 調べてみた

結果

同じようなフォルムのペンシルを見つけた

それが

YARD・O・LEDだった


いつもそう

何の気なしに好きなものを探し

辿り着くと

どれもこれも高価なものばかり


20代の頃は

金のかかる女だと

馬鹿を言って笑っていたけど

本当に馬鹿だと思う

いつだって欲しいと思うものが

呪われているほど高額なのに

笑いごとではない


それでも めげずに

YARD・O・LEDとはなんぞやと

調べてみる


まず興味を惹かれるのは

「YARD・O・LED」というブランド名

3インチの芯を12本=1ヤードの芯

を入れることができるペンシルを

発明したことから由来されている


YARD・O・LEDの歴史ある素晴らしさを

知識として充分に頭に入れたところで

気になるお値段

How much?


私ごときが使うペンシルとしては

超高級品


それもそのはず

スターリングシルバー製で職人が一本ずつ手作りしている

その上

厳正な基準に適合した物だけが受けられる

ホールマークが刻印され

これにより

素材や いつ どこで 作られたのかもわかる

まさにペンシルの王様


軽い気持ちから入り

知れば知るほど 恐れ多い逸品

そしてそのペンシルを

自分の手に馴染むまで使い込みたいという

ぞわぞわとした欲求にかられる


そんなときに出てくる お決まりの文句

「一生ものだから」

魔法の呪文 ならぬ 悪魔の呪文


もちろん

煙に巻いても何も変わらない現実

それなのに

気持ちが軽くなり

足までふんわり浮いたように

高価な買い物の罪悪感を拭ってくれる

魔法の言葉


私が手に入れたいと選んだモデルがパーフェクタ

YARD・O・LEDの中でも軽量なモデル

まずは手に取り 試し書きをしてみる

手にした時のシルバーの冷たさと

ずしっとくる重さ

確かに長時間文字を書くには

楽ではないのかもしれない

でも

不自由すら贅沢に感じさせる

心地良い重みだった


そして ビクトリアンは

ペンシルのボディ全体に模様があしらわれている

数人しかいない職人が

手作業により その模様を打ち込んでいるという

手間のかかったもの

さらにマニアックなところでは

模様の彫りを比べると

どの職人に彫られたものかがわかるという


ちなみに

私のペンシルは

1994年バーミンガム生まれ


時々そのペンシルに

『ワタシを使いこなすにはお前はまだまだ若輩だ』

そう ほくそ笑まれているような

気分になることがある


長く歴史あるモノを使いこなすには

使い手の中身も重要だということを

つくづく思い知らされる


もしモノが言葉を話したら

きっと私の周りにあるモノたちには

一生勝てる気がしない

ただ

そういったモノの力を借りて

自分が成長しているということは

間違いないのだと思う


若輩なりに

敬意を持って格式あるモノに触れ

またそれに釣り合うような

中身のある人間になっていきたい


h.

#013 Pierre-Louis Mascia Blanket

Boudoir de BdT


パリのセレクトショップのソファに

無造作にディスプレイされていたストール


花柄も ヒョウ柄も 派手やかな色合いも

どれをとっても嫌味なく上品で

個性的な柄たちに目を奪われた


それを見た日からずっと

そのストールが脳裏から離れない

パリ出張中 仕事の合間にでも

再度そのショップへ立ち寄るつもりだったものの

そういう時に限って

スケジュールの都合上

あえなく断念


帰国後もしばらくの間

そのストール

いや

柄たちに恋い焦がれていた


そのショップで出会ったストールが

Pierre-Louis Masciaだった


それからというもの

毎シーズン

独特の色彩感覚でコラージュされた

新たな柄を見るたび

心が躍る


ストール以外にも

タオルケットや クッション

バッグや トラベルケース など


デザイナーの気まぐれともいえる

ストール以外のアイテムもまた

楽しみのひとつとなった


そして

このブランケット


この素材こそが

パリで心惹かれたものだった


同じ柄でも

この素材にプリントされると

少しトーンが落ち着き

絶妙な色合いになる

それがまた

たまらない


もはや

ピエールの商品を扱えているというだけで

満足でもあった頃

ブランケットが売れ残るという

不謹慎にも

嬉しすぎる緊急事態


眺めては ニヤニヤ

インテリアとして想像しては

さらに

ニヤニヤが止まらない


そうやって

ニヤニヤしながら

実は

未だに使えていない・・


最初の熱が高かったせいか

贅沢品だからか

自分のものとするまで

妙に気構える


柄物に惹かれるのは

私にとっては貴重

隠れ派手好きと自負しているほど

色も柄も大好きだけど

好みの色柄物にはなかなか出会えない


絵画を飾るように

布を身に纏い

インテリアとして

布を配う


好きなモノに囲まれ

また その刺激を

五感で感じる


他愛もない日々の贅沢を

見逃さず

丁寧に暮らしていきたいと思える瞬間


h.

#012 Ann Demeulemeester Leather Legging

Boudoir de BdT


ヨーロッパ系ブランドでは

定番のレザーレギンス


初めてショーで見た時は

ブーツなのか

パンツなのか

同化しすぎて混乱した


そして

初めて見た実物の

レングスの長さに失笑


多少長さにゆとりを持って穿くとはいえ

平均的な日本人の身長であれば

竹馬にでも乗らない限り

ポシェットが作れそうなほど

裾上げ必須


レザーレギンスに憧れを抱いていた私としては

絶対 黒でしょ

と思っていたけれど

毎シーズン新色を見ていくうちに

いやいや

カラーもありかも


なにより汚れが目立ちそうな

白に数滴黒を垂らしたようなアイスグレー

いつものように

引き取り手の見つからなかったそいつを

ここぞとばかりに連れて帰ると

予想以上のヘビロテ


黒はモードに

アイスグレーは上品且つカジュアルに

全く違う印象になる

スニーカーにも合わせられるし

なんと万能なパンツだろう


でも難点がひとつ

そう

お洗濯が出来ません


でも

洗いたい


葛藤の末

手洗いしてみたところ

洗いたてにレザーがバリッとする程度で

他には何の問題もなかったため

調子に乗って

かなりの頻度で手洗いを繰り返した


今回この記事の写真

我がレギンスの晴れ舞台となるはずだった

しかし いざ撮影しようと

パンツを改めて眺めてみると

それはそれは

変わり果てたお姿に


結果

我がレギンスのお披露目は

あえなく自粛


穿きすぎ

洗いすぎ


時を経て

物自体をじっくり眺めることなど

一度もなかった


伸びていようが縮んでいようが

日々の小さな変化には気づかない

数年経ってようやく

あれ?

こんなだったっけ?

積み重ねた変化に気づくことになる


愛用 という言葉を履き違えていた

長く使う=愛用

相手が喋らないからとはいえ

そんな都合のいい話はない


長い付き合いのモノこそ

日々しっかり向き合い メンテナンスが必要


親しき仲にも礼儀あり

肝に銘じておこうと思う


h.

#011 Paul Harnden shoemakers Marbling Boots

Boudoir de BdT


20代前半

雑誌をパラパラめくっていて

思わず目を止めた

派手な見たくれではないけれど

どの靴よりもフォトジェニックで

芸術品のような佇まい


次の休みを待ちわび

ショップへ駆けつけた

実物もその印象は変わらず

値段も靴とは思えないほどの高額で

冷静を装うことでいっぱいいっぱいだった


その後は例により

着々と

我がポールコレクションは増えていき

軽くコレクターのような状態になった頃

このマーブリングレザーのコレクションがお目見えした


ちなみにこの写真

左から 初代

中央が 少し履き込んだもの

右が 新品


見ため 毒々しく

コーディネートにも苦労しそうなカラーリング

しかし履き始めるとどんどん色が馴染み

いろんな方から いいねを頂戴したほど


ロンドン出張時に 外国人の方から

その靴いいね!

アメイジング!

などと声を掛けられ 引き止められた

どうもどうもと

自分が作ったわけでもないのに

頬を赤らめ恐縮してみたり


そんなこんな

浮かれ調子で履き込んだ結果

気づいた頃には えらい乾燥肌

初代の靴の先はパックリと割れ

20代の女性が履きつぶしたとは

考えたくもないほど

色気のない姿に


レザーもお肌と同じ

適度な油分と日々のケアが大切だと

30代になって

ようやく思い知る


そんな初代に

手を合わせるほど感謝の気持ちを込めていた頃

なんと

マーブリングレザーのコレクションが戻ってきた

おそらくポール本人も同じ状況になったに違いない


10年位前

ポールの自宅兼アトリエにお邪魔したことがある

ロンドンから南へ約1時間半

電車を降りると

そこは一転

気持ちの良い青空と海が広がるブライトン


細い路地にある一軒家

古びた木の扉を開け

庭を通ると

おとぎ話の世界にでも入り込んだかのよう


蔦のからまった螺旋階段に

モップのようなわんちゃん

使い込まれた銅製のケトル

天井まである大きな窓


日当たりの良いアトリエは

シーズンオフの休息中


ごく当たり前の日常


目にするものひとつひとつに

わくわくした


そこで初めて会ったポールは

私のボロボロに使い込んだ

“ポールハーンデン”の靴とバッグを

初めて見たもののように

目を輝かせ

熱心に細部まで見入っていた


数年後

十数年後

あるいは 数十年後

初めて手にした時以上の感動が待っている


デザイナーの想像した

経年変化という物の奥行きや可能性

それを超えるほど

その物の可能性を味わいたい


h.

#010 Paper Dolls (Santa Claus Ver.)

Boudoir de BdT


この季節になると

思い出したように引き出しの奥から出して

眺めてみる

3cmほどのサンタクロースの着せ替え人形


数年前 文房具屋で見つけた

何をするわけでもない観賞用


子供の頃

一番好きだった遊びが 着せ替え人形だった

しかも 紙の着せ替え


人形と服を型通りに切って

折りしろを折り曲げる

着せたというより

重ねるだけ


この なんともアナログなシステムに

じわじわ込み上げてくる


着せ替えながらストーリーを考え

おままごと

これが王道の遊び方なのだろうが

私の場合

ひたすら お召し替えを繰り返す


その上

アイテムが足りない時は

自分で描いて切り取るという お手製も登場

それはそれはお粗末な

ペラッペラのベストなどを

ワンピースの上に重ねてみたりする


思えば

今も昔もやってることが変わらない


紙の人形が バービーになり

バービーが 自分自身になり

今や 大好きだった遊びの延長上に仕事がある

なんて幸せ者だろう


ところで

今も紙の着せ替えって存在してるのだろうか

というか 現代っ子たちは

紙の着せ替えを知ってるのだろうか


現代っ子代表

小学生の姪っ子のお遊び事情

着せ替えといっても ゲーム機に向かい

ボタンひとつで自在に服や色柄を替える

さらには

コーディネートした服をお友達と共有して 

いいね したりしなかったり


なんだかいちいちキラキラしてるし

目もチカチカする


それも楽しいよね

楽しいと思うけど

子ども時代の

自由で制限のない 想像の世界

その世界の中では

ヘタクソなベストも メゾンより価値がある


気の利いたゲームの世界は

実は制限だらけで

不自由だろうと感じてしまうのは

私自身が アナログだからだろうか


今も昔も

遊び道具が変わっても

クリスマスに向かう街並みは

いつも夢が詰まったみたいに暖かい

大人になっても

その雰囲気を味わうだけで

わくわくしてしまう


それぞれいろんな思い出がある

クリスマス


どうぞみなさま

楽しいクリスマスを お過ごしください


h.