Boudoir de BdT

#032 bassike Scoop V-neck with Tail

Boudoir de BdT


オープン当初から扱っている

bassikeの定番Tシャツ


Vネックの開きの深さが潔く

ヒップが隠れるほどの長さに

アシンメトリーが気の利いたデザイン


bassikeのオーガニックコットンは

浸透すればするほどファンが増え

今では

弊店の夏には欠かせない存在となった


私自身も

初めはどんなものかと興味本位だったが

洗濯したらすぐ乾くし

何と言っても

夏の猛暑には

肌にまとわりつかず

生地がさらっとしていて心地よい


それが癖になり

真夏は2日に1度は着ているんじゃないか

という頻度で愛用している


中でも初代とは

かれこれ8年以上の付き合いになる


改めて眺めてみると

元の深いVもさらに深くなり

新入りに比べると

なかなかいい具合に仕上がっている


個人的には

ヨレてしまった

気合いの入っていない感じが好きで

オフの日には

ヨレた方を好んで着ることも多い


ガンガン着用と洗濯を繰り返しているのに

未だ現役は素晴らしい


こういうものほど

手放すタイミングを失う


ファンの方の中には

使用頻度が高すぎて

古いものがヨレる前に新しいものをと

毎年必ず購入してくださる方もいるほど


今の時代

ヒット商品からロングセラーになることは

とても難しい


アパレルに限らず

流行り廃りのサイクルも

めまぐるしい


ものが豊富すぎる時代に

それを見つけ出すのも困難かもしれない


それでも

自分の中でヒットアイテムと巡り会えたら

目付け物


自分基準のロングセラーが

増えていくことも

密かな楽しみのひとつである


h.

#031 A.F.Vandevorst Coat Dress

Boudoir de BdT


コートドレス

コートのようなドレスなのか

ドレスのようなコートなのか


実のところ

コートとドレス

どっちがメインなの?


こんなどうでもいい質問にも

検索したら答えが見つかる

便利なこのご時世


コートドレスとは

「コートのようなデザインのドレスのこと」

そして

「コートとしてもドレスとしても着用できる」


コートドレスの定義について

すっきりしたところで

もっとどうでもいい話


私はコートドレスがたまらなく好きである


実際どちらとしても活用する

でも

ドレスとして着るのは買った当初のみ

そのシーズンが過ぎる頃から

コートとしてガンガン着用してしまい

次のシーズン以降

ドレスとしてメインにするには

ヨレヨレすぎて気が引けてしまう


職業柄

中間の季節になると必ず聞かれること

「今の時期

アウターはどんなものを着ていますか?」


秋口から冬に向けては

トレンチコートや

レザージャケットで問題なし


では

この梅雨の時期のように

朝晩は涼しいけど

出掛けると日中は蒸し暑い


その上

見た目に軽やかさがないのは気になるし

カーディガンより

おしゃれに見えるもの


皆さんのお悩みどころ

そんな時こそ

コートドレス


ジーンズでも

普段の服装にでも

羽織るだけでニュアンスが出るのは

素材感のおかげ


コートとして作られているものは

どれだけ柔らかい素材ですと

うたわれていても

やはりコート

ベースはしっかりしている


そこへいくと

ドレスがメインで作られている

コートドレスだからこそ

素材の柔らかさや滑らかさはドレスそのもの

その素材感が

雰囲気を作り出してくれる


なんなら

コートとしていつ着るの?

という質問がきそうなほど

防寒に長けているとか

撥水加工されているとか

そういうわけではない


ひとつで二度おいしそうな

欲張りなアイテム名のわりに

なんだかんだとコートメインで

愛用している矛盾とか


名前も含めて

少々クセ者なこのアイテムに

妙に惹かれる


このクセ者の良さが

少しずつ

皆さまにも伝わりますように


h.

#030 Walter Van Beirendonck W-Watch Bracelet

Boudoir de BdT


Walter Van Beirendonck

アントワープ6のひとり

現在は

アントワープ王立芸術アカデミーの教授でもある


アントワープに

Walterという彼のショップがあった

Walter Van Beirendonck の服はもちろん

彼自身が選んだ服がセレクトされていた


表通りから路地に入ったところにある

そのショップの少し奥まった入り口には

分厚いビニールのような仕切り


え?

これどうやって入るの?

明るいけど閉まってるの?


なんて

キョロキョロしてみると

クイズ番組でしか見たことないような

直径5cmほどの赤いボタンを発見


コレ・・ですか?

恐る恐る押してみると

扉代わりの分厚いビニールが

下から上に向かって

ぐるぐる巻き付けられていく


なんだこれ


海外のショップへ行くと

たまにこういう不思議な体験をする


変な機械音に包まれ

しばしの間

巻き付けられていくビニールに

釘付けになる


我に返り

ようやく店内に入ると

壁という仕切りは存在しない

倉庫のようなだだっ広い空間


天井からワイヤーのようなもので吊るされた

ドーナツ型のカウンターが

ゆらゆらと揺れている


カラフルな鉄骨の枠組みが一つの仕切りとなり

各デザイナーの服がディスプレイされ

ペダル式のボタンを踏むと

クリーニング店のように

服の掛かったラックがぐるぐる回り出す


ショッピングというより

遊園地にいるような感覚


楽しくて驚きのある店内は

Walter Van Beirendonck の

コレクションのようだった


店内を堪能し

そろそろ帰ろうかと出口の方へ向かう途中

編み込みやビーズ刺繍などが施された

腕時計型のブレスレットを発見した


Walter Van Beirendonck のブレスレットだった


メンズ仕様の大きな文字盤に

腕が負けてしまうのでは・・と

一瞬不安がよぎったものの

発作的な所有欲が先行し

即決


帰国後は

そんな心配もよそに

酷使するほど愛用し

今では時折メンテナンスもしているほど


残念ながら

遊園地のようなショップは

もう閉店してしまったけれど

ファッションに衝撃を受け

コレクション誌のページを

ドキドキしながらめくっていたあの頃

私の記憶には欠かせない

デザイナーのひとり


大人になり

少しは買い物の分別がつくようになってきた

とはいえ

第三者から見れば

「使えないもの」を買うことも多いらしい


それを失敗と呼ぶかは

本人次第


これからも

失敗なようで

自己満足な買い物を

どんどんしていきたいと思う


買い物まで賢くしようだなんて

私にとっては

ストレス以外のなにものでもない


h.

#029 Nantucket Basket

Boudoir de BdT


唯一フォーマルな席で許される

バスケット界のエルメス

ナンタケットバスケット


米国のマサチューセッツ州の

南に位置する小さな島

ナンタケット島


捕鯨基地であったその島の漁師達が

フィリピンや南の島から持ち帰った籐と

鯨から採れる油を入れる樽を作る技術が出合って

作り上げられたもの


ナンタケット島に行ったことのない私は

当然その島の伝統工芸品など

知る由もなかった


きっかけは

お客様が持っていた上品なバスケット

ご自身で作られたと伺い

全身に製作意欲がみなぎった


しかしそれを作るためには

教室に通わないといけないらしい

それを聞いた途端

サーっと意欲が引いていく


そこで

ドラえもんのような存在の

友人の顔が浮かんだ


夜中の通販番組のごとく

いかに素晴らしいバスケットなのかを力説

ぜひ作って欲しいと説得した


一緒にその教室を見学に行き

彼女が通うことに決定


のび太くんだと思っていた自分は

実のところジャイアンかもしれないと

改めて鏡に映る自分を眺めてみた


色々なデザインやサイズがあり

ナチュラルな籐の色が

時を経て飴色になるのを想像するだけで

わくわくする


しかも

黒い籐で編まれたバスケットも

存在するらしい


となれば

いかにモードなバスケットを作るか


使いやすい大きさとか

そういったことは一切無視

見た目重視でデザインを決定した


基礎を学び

本当に作りたいものを形にすべく

良いタイミングで

良い先生に巡り会うことができ

次のステップへ進むこととなった


ドラえもんな友人

ジャンルが違えど

さすが物づくりのプロ


ナンタケットバスケットの製作だけでは飽き足らず

バッグの留め具や蓋の上に乗せる飾りも作りたいと

象牙教室にまで通い始めた


初めのうちは

彼女がせっせと教室に通っている姿に

若干の罪悪感を感じていたものの

楽しんでいる様子を見て

あっさり解消

むしろ良いところへ導いたのではないかと

清々しさまで感じられた


その上

教室の生徒さんにも

象牙や水牛の装飾

レザーの持ち手の製作を頼まれるなど

みんなのヒーローになっていた


そうこうして出来上がったモードなバスケット

納得のいかない箇所は何度もやり直し

ようやく完成に辿り着いた


楽しんでいた彼女も

さすがにもうしばらくバスケットは作りたくないと

お腹いっぱいのご様子


それもそのはず

本来

縦横共に籐で編まれているものだが

彼女が使用したのは

ウォルナットの木のステーブ(縦地)に

通常の籐より硬い

黒いケーン(横地)だった


80〜100本ほどの木を

均一の細さに削ってから茹で

柔らかくしてから曲げていく

想像以上に

地味で手間のかかる下準備を行っていた


しかし

出来上がったバスケットは

素人が作ったとは思えないほど

素晴らしい出来栄えだった


購入するとなると

とても高価なナンタケットバスケット


その地域では

代々受け継がれていくものらしい

修繕しながら

何代にもわたり大切にされていく

価値のあるもの


これから先

自分の知らない未来に

どんな様子で引き継がれていくのか


モノが世代をつなぐ


未来のおとぎ話を想像するようで

夢は膨らむのである


h.

#028 Creed Cocktail de Pivoines Room Spray

Boudoir de BdT


CREEDといえば

見た目にも美しい

王室御用達の敷居の高いフレグランスブランド


そのルームフレグランスを友人から紹介された

Cocktail de Pivoinesという

芍薬をベースにした香りが気に入り

弊店のオープン当初からずっと

店の香りとして愛用してきた


毎朝 開店直前に

店内にシュッと噴きかけるのが日課となった


その日課は

自分でも気づかないうちに

香りをあらゆるところに撒き散らしていた


初めて来店してくださった方に

「路地から良い香りがして思わず入りました」

と言われ

閉め切ったショップから

どうやって香りが届いたのだろうかと

正直香り違いではないかと疑った


そしてまた買物をしてくださった方からは

「持ち帰った服がなにか匂う!」と

勢いよく電話がかかってきた

クレームだと覚悟した次の瞬間

「とても良い香りがする!!」

と絶賛され

拍子抜けしたほどだった


そんな調子で

いろんな方から日本では発売されていない

そのルームフレグランスが欲しいと

おつかいを頼まれることも増えていき

出張帰りのスーツケースの中には

必ず数本のルームフレグランスが整列していた


ある出張時

いつものようにCREEDのショップに出掛けると

ルームフレグランスは完売していると言われ

仕方ないので次回にと諦めた


その半年後

またリベンジに向かうと

この香りのルームフレグランスは

生産中止になったと言う


ミモザの香りだったらあると紹介してもらうも

断然Cocktail de Pivoinesが好ましい


香りは人の脳の記憶に直結するもの

ふと風に乗ってきた香りに

一瞬で蘇る思い出があるように

目には見えないが

このルームフレグランスもまた

数年を経て

いつしか店の顔となっていた


その後

本当の本当に

生産中止になってしまったのだということを

ようやく受け入れざるをえなかった


今では

キャンドルのみ この香りが生産されている


しかし自分でも驚くほど往生際が悪く

今だにパリ出張時には

販売していないかと確認してしまう


自分が愛用しているものというのは

知らず知らずに

生活の一部となっている


なくなって初めて

その重要さを実感する


身近なものほど

日常にあって当たり前すぎて

気づきもしない場合が多い


相も変わらず

復活するかもしれないという期待は捨てられないが

第二の店の顔探しは

気長に続けていこうと思う


h.